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日常臨床のための対象関係論 横浜セミナー 第二期のご案内

日常臨床のための対象関係論 横浜セミナー 第二期のご案内
――日常臨床のためのクライン派入門――

講師:愛知教育大学大学院 祖父江典人

事務局:(株)心理オフィスK 北川清一郎

セミナー案内

本横浜セミナーも二期目となりました。二期目より、本セミナーの主旨をより明確にするために、セミナー名を「日常臨床のための対象関係論」に変更しました。私たち臨床心理士、あるいは今後は公認心理師の働く領域が、構造化のきっちりとした臨床現場のみならず、医療、教育、福祉、産業、リエゾンなど、さまざまにその裾野を広げると思われるからです。そのためには私たちの臨床スタイルを日常臨床の間尺に合わせて柔軟に変えていかねばなりません。

さて、人間のこころは矛盾に満ちています。虐待を受けた子どもに対して、あるいはDV被害者に対して、いわゆる被害者の味方をしているだけでは、真に彼らのこころの奥行に支援が届かないことも珍しくありません。なぜなら、彼らには意識とは反した矛盾したこころが存在しているからです。恐怖の対象が同時に慰安の相手でもあるひとのこころの矛盾を最もよく知っているのが精神分析です。

今日、心理臨床の世界も公認心理師資格が登場し、ようやく国家資格として認められたことは、誠に喜ばしいことです。私も含めて長年、現場で働いてきた経験を持つ者にとっては、現場での無資格待遇がいかに肩身の狭いものであったかは、身に染みています。しかし一方、公認心理師資格は、その中身としては、どのような理論や技法を下にクライエントの支援に当たるのか、具体が見えないところがあります。CBTなど態度・行動面での適応改善を目指すことが主となると思われますが、人のこころの矛盾にまでは目が行き届かないかもしれません。

一方、精神分析自体も構造化した面接時間・空間を保持し、転移や解釈などの技法を用いるという原理的な考え方では、もはや一般の医師や心理の臨床現場と乖離してしまっています。なぜなら、私たちの臨床現場は多様化し、30分面接、月1面接、現実支援、アウトリーチ、構造のない教育現場・福祉現場などさまざまな広がりを見せています。精神分析にも、柔軟性が求められています。

さて、本セミナーの目的はそこにあります。一般の臨床現場にも適応しうるように、精神分析の考え方や技法を柔軟にマネージすることにあります。精神分析的な心理療法のみならず、現実支援やCBTを行う場合においても、人のこころの深みや矛盾を理解した上での支援は、クライエントのこころに響く支援を行うことも可能となるでしょう。

本セミナー第二期は、「日常臨床のためのクライン派入門」をテーマにしています。第一期と同様に10回の講義で、クライン派の理論・技法をクラインから始まり現代クライニアンに至るまで、ひととおり全体像が把握できるように簡明に解説したいと思います。クライン派を学ぶことの最たる意義としては、人のこころの闇を最もよく知っている、というところにあるでしょう。クラインの羨望理論は、母親殺し理論です。人のこころの中には、羨望という倒錯した攻撃性と快楽があるのです。このことの理解は、今日の倒錯病理である解離や虐待などの行動障害を理解する上で、至極納得のいく観点を提供してくれるでしょう。ただし、クライン派の技法をそのまま使うことは、クライエントに対して破壊的になりえます。そこには日常臨床に活かすための知恵が必要となります。

一年間を通して、クライン派の全体像をひととおり理解し、そこに日常臨床的な視点を交え、クライン派の活かし方を検討してみたいと考えています。

なお、当日ご都合等によりセミナーに参加できなかった方には、講義部分の録音CDの貸し出しを行います。

どうぞ皆様のご参加をお待ちしております。

定員:

約50名

会場:

八洲学園大学(〒220-0021 横浜市西区桜木町7-42)

アクセス:

  • 横浜駅(東口)から徒歩10分
  • 横浜市営地下鉄「高島町」駅から徒歩1分
  • 横浜高速鉄道みなとみらい線「新高島」駅から徒歩5分
  • 京浜急行「戸部」駅から徒歩5分

日程:

毎月1回 平成30年4月より日曜日(午後1時から5時まで4時間)

計10回

受講料:

4万円(院生、研究生3万円)

受講資格:

臨床心理士、医師、臨床心理系の大学院生、守秘義務を持つ専門家

締め切り:

お申し込みは別添の「第二期参加申込書」に記入の上、下記事務局までメールか郵送でお申し込みください。振り込み口座等は,お申込のご連絡とともにメールにてご返事させて頂きます。

※なお、本セミナーは、日本臨床心理士資格認定協会、定例型(継続型)研修会(4ポイント)に申請予定です。

講義について

時間:

13時より15時まで

テーマ:

日常臨床のためのクライン派入門

スケジュール:

月日テーマ講師会場(予定)
2018/4/15(日)クライン1:破壊性という苦痛と快楽――子どもの破壊性祖父江典人八洲学園大学
2018/5/6(日)クライン2:破壊性という苦痛と快楽――PS的破壊性と抑うつ的破壊性鶴見駅前ホール
2018/6/3(日)クライン3:破壊性という苦痛と快楽――破壊と孤独八洲学園大学
2018/7/1(日)破壊性の受け皿――逆転移鶴見駅前ホール
2018/8/5(日)破壊性に潜むコミュニケーションの願い――ローゼンフェルト他八洲学園大学
2018/10/7(日)倒錯した破壊性――スタイナー、ジョセフ他八洲学園大学
2018/11/4(日)日本のクライン派――松木邦裕と衣笠隆幸八洲学園大学
2018/12/2(日)ビオン1:破壊性の悲劇――羨望の沼に沈む悲劇の結晶鶴見駅前ホール
2019/2/3(日)ビオン2:破壊性の彼岸――創造の予兆としてのコンテイニング理論八洲学園大学
2019/3/3(日)自閉症における破壊性――もうひとつの死の本能八洲学園大学

※なお、上記講義を欠席された方は、希望により、録音CDの貸し出しを行います。

症例(事例)検討について

時間:

15時より17時まで

内容:

  • 参加者による症例(事例)提供と祖父江によるスーパービジョン方式です。症例(事例)発表者は、希望者の中から調整します。
  • なお、司会者を参加者の皆さんの中から順に立てる方向で調整します。後日事務局から問い合せのメールをさせていただきます。
  • 症例(事例)検討の方法は、通常の検討会のやり方とあまり変わりません。事例の概要をA3 用紙1枚程度でまとめていただき、あとは初回からの面接経過をまとめてください。
  • まとめたものは、一週間前ぐらいに、事務局の方まで添付ファイルにてお送りください。当日人数分用意します。
  • 検討会の目的は、事例の概要から、まず、ケースをどのように見立てるか(アセスメント)、それに応じてどのような面接方針が立てられるか、面接経過に関しては、毎回のケースのこころの動き(つまり、無意識や内的対象関係)のみならず、セラピスト側のこころの動き(逆転移)を踏まえながら、ケース理解や面接の流れなどを読み、今後どのような関わりが必要になるのかなど、検討していきたいと考えています。
  • なお、事例検討では、面接時間、面接頻度などの面接構造がはっきりしているセラピーのみならず、児童養護や精神科病院での取り組み、さらには30分面接などのケースも歓迎します。たとえ枠がはっきりしない構造の中でも、対象関係論の見立てや理解や技法が充分貢献しうるからです。

書籍

書籍に関しては、下記5点を販売いたします。セミナーご参加のための基礎的知識として、よろしければお求めください。

  • 『日常臨床に活かす精神分析――現場に生きる臨床家のために』(祖父江典人・細澤仁編著)誠信書房(3456円のところ、セミナー特別価格3000円にて販売)
  • 『対象関係論に学ぶ心理療法入門――こころを使った日常臨床のために』(祖父江典人著)誠信書房(3456円のところ、同じく3000円にて販売)
  • 『ビオンと不在の乳房』(祖父江典人著)誠信書房(3240円のところ、同じく2500円にて販売)
  • 『新装版 ビオンとの対話』(祖父江典人訳)金剛出版(4536円のところ、同じく4000円にて販売)
  • 『新装版 ビオンの臨床セミナー』(松木邦裕・祖父江典人訳)金剛出版(4860円のところ、同じく4000円にて販売)

なお、お渡しはセミナー当日にお渡しします。4月以降のご希望のセミナー月となりますので、お渡し希望月を参加申込書にご記入ください。代金はセミナー参加費と併せてお振込みください。


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